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by chizznt

ニキータ、海を見にいこう。

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ニキータ、海を見にいこう。


今日はPANDAのラスト・ランだった。
行き先は「海」。決めているのはそれだけ。さよならするなら、晴れた日に青い海を見てからにしたい、理由はそれだけである。

7月23日、快晴。
サンルーフを全開にして、昼前から走り出す。
ラスト・ランにはPANDAに深く携わってくれた人を一人、招待した。彼がいなかったらPANDAを知らなかったし買えなかったし、ここまで乗って来られなかったので是非とも招待したかったのだ。


彼と、山道を通り海のある方へと走る。
交わす会話はPANDAの事と、PANDAで行った場所の事。たくさんの場所へ行ったから、全ての事は思い出せない。ただ、すべてを良い思い出にして走る。
過去なんてそんなものだ。それでいい。
止め処なく話続ける私たちを乗せて、PANDAは坂を上る。峠を登り切ると、目の前に海が広がっていた。
モナコブルーとまではいかなくても、綺麗な青だと思う。よく、似合う青だと。


昼ご飯を海沿いにある店でゆっくりと食べた後に、二人で写真を2枚だけ撮った。考えれば、PANDAと一緒に二人で写した事はなかった気がする。これが最初で最後である。

「帰りますか」
どちらかがそう言って、どちらかが頷いた。
日差しは勢いを失いつつ、まどろっこしい影を作る。
エンジンを掛けて、帰路へ着く。信号一つ、カーブを一つ曲がるたびに終わりが近づいているのを感じながら。

後を頼む人のところへ着いて、エンジンを切るとハンドルを軽く二回叩いた。PANDAを乗るようになってついた癖だ。機嫌が悪くなったときや、家に着いてエンジンを切った後に「お疲れさま」の意味を込めて叩く。明日も調子よく走りますように、と。そんな他人から見ればおかしな癖を、3年間続けた。それはもう、おまじないのように。
もう走らないけれど、こうやって車を降りないと気持ちの区切りが出来ない気がした。だから二回、いつも通りのお別れの仕方でサヨナラをする。

最後に、メーターを見る。
123,125km。
これで、終わりだった。

雨の日に始まって、晴れの日に終わる。
92,000kmから123,125kmに距離を伸ばして。

31125km、3年と94日。
これが、私とPANDAが過ごした全てである。
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by chizznt | 2005-07-24 00:34 | FIAT PANDA